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連載コラム
2021/11/24 京繍 京繍

刺繍の起源

すこし前になりますが、7月11日に親交のある表具師の井上雅博さんと衣紋道山科流の山科言親さんとともに「刺繍と表具」というテーマで対談させていただきました。

源鳳院講演

 

私の話の内容は日本の刺繍の歴史を1時間半でざっと説明させて頂きました。日本最古の現存する刺繍である飛鳥時代の天寿国繡帳からいつもお話しさせていただくのですが、たまに間違った知識のまま伝わってしまうことがあります。

以前講演で一般の方からこういうご質問を頂きました。「刺繍がなかった天寿国繡帳以前はどうしていたのですか?」というものです。

私の答えは、あくまで「現存する」日本最古の刺繍が天寿国繡帳なだけであり、それ以前に日本に刺繍がないとはいえないということです。

天寿国繍帳

いや私の私見ですが、絶対に刺繍は天寿国繡帳以前から日本にありました。むしろ私は大陸から伝わる以前、縄文時代や旧石器時代からあると考えています。なぜなら服飾の原点である布と布を繋げるために「縫う」ことと同じ作業の延長線上に、装飾的に「繍う」ことがあるからです。

穴を開けて糸や紐を通す作業は古代から有ったと考える方が私は自然に感じます。

ちなみに天寿国繡帳以前の刺繍が「現存していない」という言説も実は間違いだと思っています。

日本において、歴史的資料が多く残り、年代の同定が学術的にたまたま証明されている中で最古のものが天寿国繡帳という意味であって、実はそれより古いものが残っている可能性は大いにあります。(もちろん世界には天寿国繡帳よりも古いものは発見されています。)

日本は温暖な気候なため服飾品の遺物が発見される可能性は時代を経れば経るほど無くなるとは思いますが、いつか新しいものが見つかるロマンは大いにあると思っています。

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